ちょっと汚いけど・・・

先日の上海出張で、あるモノを忘れて大変困った。

僕の海外出張のパッキングリストといえば、洗面用具、下着、Yシャツとネクタイ、それから、前回書いた趣味のためのランニングシューズ、Tシャツ、短パン、iPhone(走っている距離とペースを教えてくれる)用のアームバンドと防水ヘッドイヤホン、そして・・・今回忘れた携帯ウォシュレット。失って、初めてわかる、そのスゴさ。
あれはTOTOがウォシュレットの販売を始めて間もない1980年頃、僕はまだ小学生だった。新しモノ好きの父(もちろん会長)は即座にこれを自宅のトイレに採用した。今でも、最初に使ったときのくすぐったさと、「うぉー」と唸った感動を覚えている。ものごころついて間もない僕にとって、その瞬間から、お尻は“拭くもの”でなく“洗うもの”になった。 日本のホテルでは、装着率がほぼ100%に近く、もうほとんどデフォルト状態になり、マドンナもウィル・スミスも愛用する「温水洗浄便座付きトイレ」(これが正式名称らしいが、面倒なので以降はウォシュレット)だが、海外では、韓国を除いて、どんな高級なホテルであってもまず着いてない。

食事中にこれを読んでる人はまずいないと思うので書き進める。(もし食べているのなら、終わってから読む事をおすすめします。ちなみに、僕は今、食事しながら書いてます。)

そんなある日、出張で乗った飛行機の機内販売のカタログを見ていたら、目に飛び込んできたのが写真の“トラベルウォシュレット”だった。迷いは一切なし。どれだけの価値があるかは、お尻が一番知っている。普段滅多に使わない“CA呼び出しボタン”を押した。一刻も早く欲しかった。在庫切れが怖かった。(ちなみに、現在機内での取扱はないらしいが、amazonでは5,420円。)


※これは見やすくするための合成写真です。いくらなんでもふたつは持っていません。

そういえば、この前、アメリカ人の親友マット君の家族と旅行に行った際、「オレの部屋の使ってるから、こっちのトイレ貸して」と勝手にウチの部屋のトイレに入って大きい方を始めたマット君。用を足して出てくると「お前の歯ブラシさ、いいんだけど、ちょっとでかいな。水で飛ばすのはいいけどね。」と・・・。はっ?どうやら、洗面台に置いてあったウォシュレットを近頃流行の水流歯ブラシと間違えて、“試用”したらしい。死ぬほど笑った後に真実を伝えると、彼の顔は青かった。

ウォシュレットは、特にお尻に持病を持つ人(僕は違います)にとっては、革命的なガジェットとなっただけでなく、紙を使わないので環境にも家計にもやさしい。良い事ばかりじゃないか!と思いきや、最近になって、健常者の場合、お尻が清潔になりすぎてしまい、肌が過敏になり、紙などの摩擦に対する抵抗力がなくなってしまうという、思いもよらない問題が。(これもTOTOの戦略のうちなのか。だとすると究極の“囲い込み”だ。)ウォシュレット歴30年の僕は、おそらく、いや間違いなく敏感肌だ。常にウォシュレットがあれば良いのだが、海外に出張で紙の生活を数日間強いられると、“キツい”のである。どう“キツい”のかは、ご想像にお任せする。

ウォシュレットが素晴らしいとか、携帯版は歯ブラシと間違えるので気をつけようとか、そういうことを伝えたいのではない。TOTOは、トイレの標準を根本から変えた。トイレがその国の民度(あるいは文化レベル)を表すというが、日本のトイレは圧倒的にキレイで、もしトイレオリンピックなんてものがあれば(たぶんない、いや絶対ないと思うが)、アメリカがバスケットボールでつける以上の大差で金メダルだ。ウォシュレットはそれくらいの出来事だし、携帯ウォシュレットはウォークマンと同じくらいの歴史的な発明だと思う。

果たしてTSSは“マシン業界のウォシュレット”を生み出せるのか。僕の答えはいつでも“イエス”。一点も曇りなし。今、マシンを作るメンバーは、震災で負った生産設備のダメージを復旧するために、24時間稼働のスクランブル状態で仕事をしている。もちろん仕事はそれだけではないので、通常の案件も進めながらの対応である。このような厳しいスケジュールは、私の知る限り、ここ数年では初めてで、若い朝日工場のメンバーにとっても、初めてのはずだ。きっと想像以上のツラさだろう。それでも、暗い表情はまったく見えない。そういうところがとても頼もしいし、カッコいいと思う。みんなの真剣さが伝わってくる。もちろん反省をしないといけないこともたくさんある。でも、僕はこういう社員がいることが誇らしいと思う。
このメンバーなら、近い将来、マシン業界の“ウォシュレット革命”を起こせると信じている。

最後に、出張の多い社員のみんなへ、トラベルウォシュレットをお勧めする。

エクスペリエンス1

エクスペリエンス。

IT業界では、もう10年以上も前から使われているこの言葉。「変な会社」プロジェクトには欠かせないキーワードだ。辞書には【experience】:「経験」と書かれているが、カタカナの【エクスペリエンス】となると「新しい体験」とか「期待を超える体験」という感じかな。お客さんの「マジですか?」の裏には必ずこれがあるはず。

よく出てくる例としては、アップルのiPhone。それまでの携帯といえば、機能満載はいいけど、辞書のようにぶ厚い説明書を読まないとその半分も使えなくて、スペックの押し売りみたいな感じだったけど、iPhoneが僕らに与えたのは、まさしく「新しい体験」。説明書不要の使い勝手。人間の感覚に訴える操作感。画面の使い方が人間っぽいんだよね。メールを削除するときのゴミ箱への入り方なんて、「メールを削除しました」っていうテキストが出るより、よっぽど「捨てた感」がある。

「変な会社TSS」としては、お客さんに【エクスペリエンス】を提供しなければならないわけで、【エクスペリエンス】を提供するには、まず自分が、普段から【エクスペリエンス】してないといけない。ということで、最近の【エクスペリエンス】をご報告。

富山県朝日町の桜をバックにした写真の車は、世界初の量産電気自動車、日産リーフ。今回は、いつものレンタカー屋さんで、たまたま予約した車種がなかったために、代打として登場したこの車。
モーターのスムース&パワフルな加速感とか、静かな疾走感は、ハイブリッドでは味わえない感覚だし、後ろから見た感じは、ランチアテーマみたいでカッコいいし、何よりも、乗り込むときの「オレ、電気自動車乗ってんだ。あれっ君達、まだガソリンなの?」みたいな、ロールスロイスでも得られない優越感が、間違いなく【エクスペリエンス】。
そして、ディーラー以外に充電できる場所がなく、空港からの工場までの往復100kmのうちの最後10kmで、バッテリーがほぼ空っぽになり、「止まったらJAFが何とかしてくれるのかな?無理だよな・・・」という、冷や汗ものの恐怖体験も【エクスペリエンス】。

ゴーンさんは、よくこれを出そうと思った。エラい。開拓者のみが知る苦しみは、開拓者のみが経験できる、まさしく【エクスペリエンス】なんだろうな。

お客さんに【エクスペリエンス】を提供するには、会社も【エクスペリエンス】しなきゃいけないよなー。と、妙に納得させられた今回の出張だった。

僕は朝走る

ランニングは、自分自身、なぜ続いているのかがよくわからない、不思議な趣味だ。
きっかけは、5年ほど前のある日、ソファーでテレビを観ていたとき、パンツのゴムが脂肪の圧力に負けて裏返ってしまっているのを発見したときだ。「これはマズい!」と思った。
始めた当初は「きのうより遠く速く」走ることが楽しみだった。目標を上へ上へと設定していく脳みそに対して、一生懸命くらいついていく身体が可愛かった。でも、ストレッチをすることや、フォームを気にする事などなく、とにかく走って上に行きたかった。そして、最初1kmだった距離が20kmを超え、1kmあたりのペースが4分30秒に近づいていたある日の夜中、呼吸困難で目が急に覚めた。疲労により背筋がつってしまった。普通に呼吸ができず、それから3日位、まともに眠れなかった。要するに、無茶苦茶に走って、身体を壊してしまったのだ。

走れない日々が半年ほど続いた後、久しぶりにランニングシューズを履いた。そのときの距離は3km、ペースは5分45秒/kmがやっと。猛烈な敗北感。走るのが最高につまらなかった。でも、”パンツのゴム”がトラウマで、嫌々走った。どうせ走るなら、以前のペースに戻してやりたかった。今度は本を読んで、フォームを修正したり、走る前後は入念なストレッチもした。整体にも通った。おかげで身体は壊れなくなった。でも、前のペースには、戻らない。

怪我の前は、走るのがワクワクだった。でも今は、雨が降っていないか、風は吹いていないか、身体はどこも痛くないか、とサボる言い訳を探す。すべての条件が揃って初めて、相当な決心で走り始める。週5日だったペースが、週2日以下まで下がり、目標を見失っていた頃、東京マラソンに参加することになった。目標は「フルマラソン、デビューは東京、サブ4で」という変な川柳を作るほどだったが、結果は4時間半。完全な走り込み不足。完走した事は達成感よりも疲労感満載だった。しかも、左の膝にダメージを負い、その後1ヶ月くらい走れなくなった。

でも、その後、また懲りずに走り始めた。なんで? 実は“パンツのゴム”症候群に打ち勝つこと以外のモティベーションがある。
それは朝の空気だ。

特に冬の朝は、猛烈に寒いけど、あのピーンと張りつめたような緊張感が大好きだ。朝起きてから走り始めるまではつらいけど、外に出ると気持ちがいい。そして、出張先となると、そのテンションはさらに上がる。海外に行く事は多くても、ほとんどがビジネス出張なので、観光旅行はまずできない。でも、朝早く起きて、街の中や周りを走れば、人も少なく、いわば早送りの観光旅行。とってもお得。今回の出張で、走っている途中に携帯で撮った下の2枚の写真を見てもらえれば、なんとなくわかると思う。

良いことづくめのモーニングランだが、ひとつだけ問題がある。
早朝の公園を散歩しているのはお年寄りばかりだ。若い女性がいれば、もう少し緊張感とモチベーションを高く維持できるのになー…

それでも僕は朝走る。

ドイツ フランクフルト市内マイン川沿いの遊歩道
ドイツ フランクフルト市内マイン川沿いの遊歩道


チェコ インドルジフーフ・フラデツにあるバイガル湖畔