変われるか

自民党が大勝した、2012年の衆議院議員選挙。
200兆円の公共投資や、金融緩和によるデフレと円高の対策など、色々な公約が掲げられた。実際に、この選挙結果を受けて、外国為替が円安傾向に振れている。しかし、日本の政治が本当に変わることに対して、あまり期待していない。もちろん変わって欲しいと願ってはいるが。

日本を含む先進国のほとんどが、成熟しきった飽和状態にあり、成長を前提とした政策は現実味がない。特に工業先進国である日本において、我々製造業は、これまでの日本の成長を支えてきたが、今は世界的飽和と淘汰の渦の中心にいる。日本が変わってくれるのなんて待っていたら、その渦に巻き込まれて、一瞬のうちに消えてなくなってしまう。

だから、唯一できることは、自分たちが変わること。

正直、こんなに速く、世界が動くと思っていなかった。今までの作り方、働き方をしていると、すぐに飲み込まれてしまう。この変化に対応できないと、仕事なんて明日にも無くなる。別の産業だって、遅かれ早かれ、同じことが待ち受けているが、製造業は、一番最先端に立たされている。この危機感と恐怖感を社員と共有しなければならない。

では、どうしたら良いのか。

まず、会社とその社員はできるだけフレキシブルにならなければならない。具体的に言うと、場所と人である。

場所については、現在、日本には富山と東京、中国には上海と青島の工場がある。しかし、これからは、そのときの市場や、能力、物価、為替、政治、など様々な点を総合的に考慮して、地球の上で、最も価値を高められる場所で、ものづくりを行われるべきである。現在の交通と通信の発展は、地理的なハンディとリスクを小さくしており、これかもそれは縮まっていく。一方で、日本人には素晴らしい能力があり、ドイツと並んで世界一製造業に向いている人種だと信じている。だから日本人には、世界の製造業で担わなければならない責任がある。

地球を舞台にして、これまで培った技術、経験を展開できれば、TSSの社員としてはもちろん、世界の製造業で求められる人材になれる。生産工場運営とその品質管理のためのノウハウや、マシン製造工程に求められる、精密機械製造のアイディア、技術、経験を持つ人間は、日本に留まることなく、世界に進出し、その国々の人材を活用して、日本のものづくりを体現しなければならない。それは、技術を持つものの責任とも言える。

次に、人である。世界一高い水準の人件費が支払われている日本人。我々は、世界的に見ても高度なものを作っていると思うが、総ての工程に高度な技術が要求されているわけではない。というよりも、むしろ高度な技術が要求される工程は限られている。手順が明確で、教育がされているなら、技術がなくてもできる工程も多く存在している。

これまでの給与を維持するためには、少なくとも、日本で作ることの意味がある高度な技術を最低ひとつは有していなければならないだろう。そして、それ以上に成長するためには、それ以外の複数の工程をこなすことと、外国人を含めた他人を教育できる能力が必要だ。我々の業務は、忙閑の差が激しい。ひとつの工程が忙しくて、他は暇ということがある。それぞれの工程の専門家を常に準備をするということは、高水準の固定費を維持することになり、高賃金の日本において致命的になり始めている。

先に述べた、人材の国際化と合わせて、多能工化は、日本の技術を世界に広めるひとつの鍵となるであろう。その点で、最近になって始まった、他部署からの設計業務支援は、会社としてはもちろん、世界のものづくりのための大きな一歩である。これから、社内のいたるところで、こういう動きが見えてくるはずだ。

成長期をとうに終え、人間で言えば、大の大人になった日本が、自民党政権になり、国家として、国内をどう治め、世界の中で、どのような役割を果たすのか。日本人として、とても気になるが、世界は日本の変化など待たない。だから、我々は変わる。世界のスピードに対抗し、渦の中心にいても、飲み込まれぬよう。

地球は色々な意味で急速に変化している。置いていかれるな、日本。

地球は色々な意味で急速に変化している。置いていかれるな、日本。

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新工場できました

11月30日、ついに我が社の新第2工場が竣工した。

今、日本の製造業は崖っぷちに立たされた上に、猛烈な逆風が吹き荒れ、惨憺たる状況である。新聞やニュースで報道される以上に、現実はさらに深刻かもしれない。そんな最悪なときに新工場?「お前はバカ?」と実際に言われなくても、思う人は沢山いるだろう。では、なぜ今新工場なのか。

約10年位前までは、周りが調子良くやっている時に、それと同調して、調子良くやれば、リスクがないと思われていたし、実際にそうだったかもしれない。そして今は、みんな調子が悪いので、それに同調して、静かにしているほうが、リスクがないと思っている人たちが多いらしい。しかしもう、高度経済成長やバブルの理論で生きるのをいい加減にやめる時期ではないか。

我々TSSには、工場が4つに分散している地理的リスクがあり、今回の工場は、それを解消することで、管理、物流、品質面での向上とコストダウンを狙った、という目的がある。さらに、既存のマシン製造工場と、部品生産工場が隣接することで、お互いの能力を引き出し合って、高め合うという相乗効果が期待できる。

しかし、今現在の分散した工場でも、やりくりしようと思えばできないわけではない。では、その地理的リスク解消の効果や部門間の相乗効果が、工場建設の経済的リスクを上回るのか。答は”YES”だと信じているが、未来のことは誰も知らない。想定外のリスクも考えられるし、やってみたら”NO”かもしれない。そして、今の世界と日本の経済や政治の状況を考えると、みんな”NO”と考えたくなるらしい。

まず、僕は人と同じことをしたくない。そして、チャンスがあるときに、それを逃したいと思わない。やってみて失敗したら仕方ないし、そこから学べば良い。しかし、やってみなければ学ぶものが何もない。

吹雪の中、体力を温存するために、うずくまって、救助が来るか、天気が回復するまでじっと耐えることも選択。無理にでも、立ち上がって、前に進み、ゴールを目指すことも選択。どちらの選択にもリスクはあるし、結果が出ないと、その選択が正しかったかどうかはわからない。しかし、これからの日本において、国や政治が何とかしてくれたり、世界の景気が突然回復して、日本に恩恵をもたらすなどあり得ない。だから、天気が回復するまでとか、救助が来るのを待つというのが、現実的であるとはとても思えない。

もちろん、工場を建てようと思っても、土地とお金がなければ建てられないのは子供だってわかる。だから我々の考えを理解し、賛同してくれた、元々の地主さん、町役場と議会のみなさん、そして金融機関のご協力なしでは、この工場は建たなかった。こんな時期に工場を建てさせてもらえるということは、皆さんから期待をしていただいていると認識しているし、成功する責任があるし、増えた借金を返す責任もある。

さて、これからが勝負である。大げさかもしれないが、危機的状況にある日本の製造業の中で、ほんの微力であっても刺激を与え続けなければならないと思っている。自分たちの利益も大切だが、色々な意味で大局的に、地域と社会と国と世界のために、僕たちには使命がある。

男前?竣工式前日の姿です。

男前?竣工式前日の姿です。